「おい、高条─────…!」


…はぁ、こんな時に幻聴ですか。




いいかげんにして欲しい。




「高条!」


…ん?


幻覚まで…って





「一ノ瀬先輩!?」


「────…っ、ソイツら、誰だ。」




誰だって…



「誰ですか!?」


「はぁ!?

つか、彼氏にフられたんじゃねーのかよ…!」



チッ、と舌打ちをして、男三人は去っていった。




「…っ先、輩。なんで、ここに…」



「目撃情報たどってきた。」 


うっ…


この服のおかげで居場所が…



「あ、あの…」



わたしがもじもじしていると、先輩はそっぽを向きながら言った。


「…悪かったな。」


「え…!?」
  

わたしは突然のことに、目を白黒させる。


なんで先輩が謝るの…?


「真剣じゃないなんて言って悪かった。

お前は誰より音楽が好きで、音楽に真剣だったのに。


それを否定して、悪かった。」



「先輩…」



でも、わたしも怒鳴ってしまったし…



「…いいんです。


歌詞を忘れてしまったのは事実ですし、怒鳴ってしまってすみませんでした。

あ、あと…その、フォローしてくれてありがとうございました!!!」




わたしは深々と頭を下げた。