「当たり前だろ?
じゃ、そろそろ帰らなきゃ。
またな」


「うん」


私が頷くと奏太の顔が近づいてきた。


キスされる…


私は目を閉じた。

それとほぼ同時に重なる唇。


名残惜しそうに離れる唇。

キスの後ってなんでこんな恥ずかしいんだろう?


「じゃ、またな」


「う、うん」


奏太が病室から出ていった。

今回は結構会えない期間が長い。


でも我慢するよ。

奏太が好きだから。


――――――――


「どうも、来ちゃった」


次の日、私は再び隣の病室を訪ねた。


「何?」


「昨日はごめんね。
初対面なのに馴れ馴れしく接しちゃって」


私は軽く頭を下げた。

昨日の出来事は私も悪かったと思う。

病気で傷ついてるのにほぼ見ず知らずの人から「羨ましい」なんて怒るにきまってる。