時は平安。

藤原道長が権力を握っていた時代、かの美人と有名な小野小町と比べては可哀想なほど不細工な人がいました。

彼女の名は桜小町といいました。

ほっそりとした色白の肌に淡いピンクの唇、黒髪………。

今から見れば絶世の美女ですが、この時代はふっくらとした女性が美人として好まれてきました。

つまり、今と昔の美人感覚は真逆なのです。

彼女は恋をしていました。

それは、坂上定平(さかのうえのさだのひら)様でした。

彼は、とても女性たちから人気があるほど美形(今でも通用する美形)でしたが女性に一度も歌をかいたことがありませんでした。

歌が下手というわけではありません。

彼には好きだと思える相手がいないだけだったのです。