「・・・・・・・藍、スゴイよね。 しっかり証拠とっておいたりさ」
藍が押さえた証拠のせいで、オレは遥を信じる事が出来なくなった。
遥が悪い。 藍は正しい。
なのに、藍に腹が立つ。
ショックのせいで自分の気持ちが分からない。
今、話をしたいのは、藍。 なのに、藍に苛立つ。
「・・・・・・ウチ、母親が弁護士だからさ。 昔から『証拠は必須』って言われ続けて育ったしね」
藍が苦笑いを浮かべた。
藍は、オレの苛立ちに気付いていない。
「どうりで」
だから、オレの返事もトゲトゲしくなる。
「何ソレ。 『どうりで口が立つ』ってコト??」
藍が目を細くしてオレを見た。
『そうの通り』とは言えない。
だって、藍は口が立つから。