キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
「…うっ、やっばい!」
あたし、川田杏子。
高校3年生。
現在、彼氏はいません。
「――杏子、はやくっ!!」
今、あたしは走ってる。
「待ってー!!」
そして、菜々子も走ってる。
あたしたちは、見事に遅刻した。
「もうっ、杏子が寝てるからっ」
「――ごめんってー!」
そう。この遅刻の原因は
このあたし。
おもいっきり、寝坊してしまいました。
「今度、ドーナッツ1こだからねー!」
菜々子はそう言って、先に教室に入っていった。
あたしの教室は菜々子の教室より奥にあるから、その分あたしはもっと走らなきゃならない。
「またドーナッツっ…」
菜々子にお礼としてドーナッツを奢るのは、この3年間で何回あったことか。
もう両手だけじゃ、おさまらない。