右手でガッツポーズなんか作りながら決意。

まずはメアドをゲットしないことには始まらないもんね。


直接話せればいいんだけど‥
チキン、杏子。
緊張して話せるかわからないから。


「そう、がんばってね〜」

とまるで他人事のようにサラッという菜々子に、見てろよ〜とさらに意気込むあたしだった。



それから少し菜々子と世間話をして教室に戻ると、千夏がいて、隣にはシュンもいた。


「あれ〜2人でなにしてるの?」

あたしも2人の中に入りたくて声をかけ寄った。


どうやらシュンと千夏は近々行われる学校祭について話し合っていた様子だった。


「―‥。」

あたしはそんな2人の様子を見て、なんかお似合い‥と心の中で感じたんだ。
これを千夏に言ったらどう反応するんだろう――。



「あ、杏子。」

先に気づいてくれたのはシュン。

すぐにあたしを促し、座る席を用意してくれた。


‥出来る男、シュン様。



「杏子も一緒に劇やるだろ?」

「あー‥あたしは‥」



この学校の学校祭は
劇、行灯行列、喫茶部門に分かれていて
各クラスが出し合うようになっている。

劇は毎年ながら本格的な演技にみんなが心を動かされ

行灯行列は約2メートルにもおよぶ大きな行灯が暗闇の中できらびやかにライトアップされ
センスと技術を光らせて一般市民を喜ばせば
ここの学校祭の行灯行列は毎年恒例のものとなっている。


喫茶は今年はこのクラスは担当していないことになった。


だから、劇か行灯作りを選ぶことになるんだけど―‥


「行灯作りかなぁ‥」

と苦笑いを浮かべながらシュンに話した。


あたしは劇が嫌い。
嫌いというか、チキン杏子は人前に立つことを本気で苦手とする人間である。