「──あぁ、山下ね」


意外にもすんなりと菜々子の口から山下大貴の名前がでた隣には。


「そうなの、山下くん!!」

菜々子の机に両手をつき、身を乗り出して興奮気味に話すあたし。


「あたし山下と同じ中学だったよ」

「うそ、ほんと!?」


「うそ言ってどうする」


てか、大きな声出してたらまわりに変な目で見られるよ〜 なんて付け足しながらクスクス笑う菜々子。


「そ、そうなんだ‥」

一気に声のボリュームを下げ、周りを見渡しながら菜々子の耳元で囁く。


まさか菜々子と山下くんが同じ中学とは。

意外や意外。新事実。



「なんか‥あたし‥漫画に感化されやすい体質なのかも‥」


「‥へぇ、すきなんだ。」

「なっ‥!」

思わず手を口にあて、1歩体を後退させる。


‥す、するどい‥