俺がそう問いかければ一瞬切ない顔になり、へらっと笑う。
「わかってるくせに」
ツン、と頬に舞依の人差し指が突き立てられる。
「誰?」
舞依の手をつかんで目を真っ直ぐ見つめる。
フイ、と逸らされた視線は気にしないことにして。
「舞依」
「……めて」
「ん?」
「やっ、めてっ……」
ボロボロ涙を流しながら俺を見つめ返してきた。
なっ泣かした……!
「ごめっ、どうしたんだろ、私……」
「あ、いや、ごめん」
「なんでもないからっ」
ゴシゴシ涙を拭く舞依をぎゅっと抱きしめた。
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