…あぁ、マジでおかしいな、俺…。
茉友ちゃんなんて、全然タイプじゃないはずなのに。
そう思いながら教室に戻ると、俺はある異変を感じてふいに立ち止まった。
…友希がいない。
「ね、友希何処行ったか知らない?」
その辺にいた女子にそう聞くけど、
「友希なら、田中に呼ばれてどっか行ったよ」
って言われた。
え、田中先生?
うわ、マジかよ。
…けど、まぁいっか。
保健室に行かれるよりは。
俺はそう思うと、自分の席に戻った。
しかしその瞬間浮かんでくるのは、茉友ちゃんのこと。
昨日からずっと茉友ちゃんのことが頭から離れない俺は、
認めたくなくて違うことを考えようとしたけど、結局無理だった。
“…先輩、嫌です。離れてくださいっ…”
「…、」
あんなにはっきり「嫌」って言われたのは初めてだった。
今までならずっとみんな黙って俺に抱かれていてくれたのに。
しかも、その嫌だったはずの行為も茉友ちゃん自ら未遂にしてた。
何かもう…何だろ、ずるい。
出来れば友希から奪いたい…。
俺はそう思うと、独りそっと目を伏せた。