「へー…」
…って、何だよ。予想的中じゃないか。
「やっぱりそこなんだ」
俺がそう言うと、菊池君は「そこしかないでしょ」って呟く。
まぁ確かに、菊池君の両親は二人とも美容師だし、長女の仁菜ちゃんも美容師をやっているから、
菊池君もそういう関係の道を歩むのもなんとなくわかる。
でも…えー、何だよ寂しいじゃん。俺もそっち行こうかな。
そう思っていると、菊池君が容赦なく言った。
「あ、ついて行こうとか思わないでね。さすがにキモイから」
「…、」
ひ、ひどい…。
ってか、なんで俺の考えてることがわかったんだ。
菊池君のその言葉を聞くと、俺はちょっと拗ねながら「わかってるよ…」と呟く。
でも、俺は昔からそうだった。
独りじゃ不安だから、この高校だってわざわざ菊池君と同じところを選んだんだ。
それに、小学生の時に習っていた塾だってそうだった。
独りじゃ不安だから、ワガママを言って菊池君も一緒に通ってもらってた。
あー、我ながらどんだけへたれなんだよ俺は…。
そう思ってちょっと凹んでいたら、菊池君が再び口を開いて言った。
「友希は、友希の行きたいところに行くといいよ」
「!」
「別に、俺に合わせる必要なんてない、」
菊池君はそれだけを言うと、ニッコリ笑った。