「え、」
あれ?だってさっきは…。
「でも、さっきは“それ悪くない”って…」
あたしがそう言うと、星河先輩は照れくさそうに頬を人差指で掻きながら言った。
「あ、あれは…」
「?」
「茉友ちゃんの私服が…可愛いっていうか…」
「!」
「似合ってるなーと思って」
星河先輩はあたしと目を合わせずにそれだけ言うと、突然「あー!!」とよくわからない奇声を発して、立ち上がった。
「!?」
「ってかさ、せっかく買ってきてくれたんだし食べようよケーキ!ね!?」
「は、はい」
「ちょっと待ってて!今飲み物持ってくる!」
星河先輩はそう言って、顔を真っ赤にして部屋を出て行った。
「…、」
…照れ屋なんだな、星河先輩ってかなり。
ってか、「可愛い」だって。
菊池先輩に選んでもらって正解だったよー。
そんなことを思いながらしばらく待っていると、数分後、やっと星河先輩が部屋に戻ってきた。
両腕に、オレンジジュースの缶2本と皿、フォークが抱えられている。
あたしは急いで星河先輩からそれを受け取ってテーブルの上に置くと、ケーキが入っている箱を開けた。
…よかった、甘いものが苦手なことを考えて2個しか買って来なくて。