だけど茉友ちゃんを見ると、俺は一瞬びっくりして固まった。

三つ編みをほどいた茉友ちゃんが、予想以上に可愛かったのだ。



「…あ、あの、菊池先輩?」

「…あっ、ごめん!」

「?」



思わずちょっと見とれちゃって、茉友ちゃんの声で我に返る。


ひょっとして、眼鏡もとったらすげー可愛いかも…



そんなことを思っていると…







「!!」




その時突然、俺の携帯が鳴った。


その音は今にも何処からか物凄い悪者が出てきそうな、悪魔のテーマソング。

…誰か、なんて見なくてもわかる。

きっと二番目の姉貴だ。



「あれ、何の音ですかね?」



携帯を持っていない茉友ちゃんはそう言って不思議そうに辺りをキョロキョロするけど、

物凄くコワイ姉貴の存在を知られたくない俺は、コッソリ着信を拒否して電源を切ると茉友ちゃんに言った。



「な、なんだろうね~」

「…あ、音止んだみたいですよ」

「ほんとだ。…あ、それより早く着替えてそれ買おうよ」

「そうですね」



俺がそう言うと、茉友ちゃんはまた試着室に入って行った。



…はー、危なかった…。