「…、」



そんな菊池先輩の言葉に、あたしは逃げようとしていた足をピタリと止めた。



「本当に、もう二度としないんですね?」



あたしがそう聞くと、菊池先輩は「もちろん」って頷いてくれる。



「では…今回は、見逃します…よ」



まぁ、悩み相談も聴いてもらったわけだし。

あたしがそう言うと、菊池先輩は安心したような笑顔を見せた。


あぁ、本当に純粋に安心した笑顔って、こういうことを言うんだろうな、多分。


なんて、あたしが星河先輩のさっきの笑顔を思い出していたら、そのうち菊池先輩が言った。



「…ってか茉友ちゃん、ブティックで何してたの?」

「!」



菊池先輩はあたしにそう問いかけると、ふいにあたしがさっき出てきたブティックを見遣る。

その問いに、一瞬「何でもありません」って言いかけたけど、

あたしは友達がいないし頼りになるのが菊池先輩だけだから、思い切って言った。



「じ、実は今度の週末に…星河先輩と、デートすることになったんです」

「え、」

「だから、服を買いに来たんですけど…」

「あー…何を着ていいかわからない、とか?」

「そうそう、そうなんですよ!」



あたしがそう言うと、菊池先輩は優しく笑って言う。



「じゃあ、一緒に見てあげるよ」

「え!?」

「ちなみに、友希と何処行く予定なの?」



菊池先輩の言葉に物凄く安心したあたしは、ブティックに入ろうとする菊池先輩に言った。



「星河先輩の家に行くんです!」