あたしはふいに、誰かに声をかけられた。


この声はまさか…。


そう思いながら振り向くと、そこにいたのは、



「…き、菊池先輩」



菊池先輩だった。



菊池先輩は学校の帰りなのか制服を着ているけど、手には何やらコンビニの袋を持っている。

それはいいんだけど、あたしは菊池先輩を見た瞬間、昨日の嫌な思い出が脳裏を過ぎった。




“…慣れてないなら、教えてあげるよ”

“どーせ、茉友ちゃんは全部知らないんでしょ?”

“だったら、俺が一から全部教えてあげる”




「…!!」



それを思い出した瞬間、あたしは体がゾクッとして、急いで菊池先輩から逃げようとした。


…けど。




「待って、茉友ちゃん!」

「!?」



その腕をすぐに菊池先輩に掴まれた。



「は、離してください!」



そんな菊池先輩にあたしは慌ててそう言うけど、菊池先輩は声のトーンを落として言う。



「…ごめんね、昨日」

「!」

「もう二度とあんなことしないって誓うから、許してくんない…かな?」