「グンジはホントにもてるよね。」理理子はあきれた顔で、ゴミ袋の口をいつも強く強く縛るのだった。

そうは言っても、理理子は理理子でモテモテだった。言うまでもなく、理理子の下駄箱もグンジと同じ状態だった。

「理理子もモテるよな」とグンジが言うと、理理子は機嫌が悪そうに言うのだった。
「私はグンジだけだし」
そう言うと、理理子は専用のラブレター回収袋をだすと、集めてカバンにしまうのだ。グンジのラブレターが入ったゴミ袋を右手に持ったまま。

「お前のラブレターは捨てないの?」
初めのうちはグンジも腹が立っていたが、理理子にはいつも言いくるめられてしまうのだった。

「お兄ちゃんにね、グンジが怒るからラブレター読まずに捨てたって言ったらね、グンジを連れて来いって凄く怒りだしちゃってね、必死でなだめて理由を聞いたら、こう言うのよ」
グンジは内心ビクビクしながら心臓を鷲掴みされたような息苦しい気持ちで聞いていた。
「女の場合、危ない男につきまとわれたりするからラブレターの中身をしっかりと見て前もって危険を回避する準備をしとかなきゃならないんだよ!グンジは理理子の事なんて何も考えていないんじゃないのか?って言われたの」