「ここ。狭いし散らかってるけど。どーぞ。」





アパートの一室。
幼なじみとはいえ、男の子の部屋に入るのは緊張する。





キョロキョロと見渡す莉紗に、翔太は苦笑い。





「あんまりジロジロ見るなよ…別に変なもんねーけど恥ずかしいだろ?」




「あはは、ごめんごめん。」





「はい、一本だけ付き合えよ。」





そう言って翔太はビールの缶を差し出した。
ソファーに横並びに座って乾杯をする。





「うん、おいしいっ。」




満面の笑みの莉紗に、翔太はからかうように突っ込みを入れる。




「お前弱いのに酒好きだよな。」




「もうっ…あの日のことは忘れてよ!」




酔っぱらって駅で翔太に抱えられた日。
思い出すだけで恥ずかしいのに。