母の告白から数日後のよく晴れた日、アパートにやってきたのは『広瀬』という優しそうな男性だった。







母の決めた人だ、何も口出しすることはない。
その人のことを躊躇いもなく『お父さん』と呼べる気がした。







「莉紗ちゃん、よろしくね。」






差し伸べられた手をそっと握り返した。






「涼のやつ、大学の講義があるらしくて少し遅れるって言ってたんだが……」






『涼』というのは広瀬さん、お父さんの連れ子らしい。
つまり莉紗の兄になるわけだ。