「翔太はずっとこの辺りに住んでるの?」





「いや、元々職場がこっちなんだけど、終電なくなることも結構あるから近くに引っ越して来たんだ。ちょうど一年くらい経つかな。」





「そっかぁ…翔太は美容師さんになったんだもんね。そういえば昔から手先は器用だったもんねぇ。」





突然翔太は思いついたように「あっ」と声をあげると、満面の笑みで詰め寄ってきた。





「莉紗、モデルやってくれないか?」




「へ…?カットモデルみたいな……?」




「そう。俺まだまだ修行中だから、練習させてくれると助かる。」




(練習台かぁ……どうなんだろう……)





つい不安な表情になってしまったのか、翔太は慌てて取り繕った。





「大丈夫!お前のできる範囲で協力してくれれば。もちろん無料だし、いろいろサービスしてやるよ。な、お願い!」




両手を合わせて頼み込む翔太。
そんなにお願いされては断りずらい。





「うん。じゃあ、私で良ければ。」




言い終わらないうちに無邪気な笑顔を見せる翔太。
やっぱり年下って感じ。
一つしか違わないのに、なんだかかわいく思える。