7時ーーーーー
莉紗は駅前のカフェに着くと辺りをキョロキョロと見渡した。





そして昨日の彼を見つけると、向かいに座った。




「お待たせしました。すみません、お仕事前に……」



「はい、ケータイ。飲み過ぎには気を付けなよ。」



涼にも全く同じこと言われたな……
差し出されたケータイを、少し申し訳なさそうに受け取った。






彼はじっと真面目な顔で莉紗を見つめている。



「あの………?」



「勘違いじゃないと思うから言うけど。あんた莉紗だろ?」




莉紗の頭は一瞬真っ白になった。
意味がわからない。



「いや、確かに莉紗ですけど…何で知ってるの?ケータイ見たから?っていうか……いきなり呼び捨て?」



早口で喋る莉紗に、彼はおかしそうに笑っていた。




「覚えてない?俺、牧野翔太。」




「翔太……?」



まだ疑問符が浮かんでいる。




「昔団地に住んでただろ?よく一緒に遊んでた。もう17年も前のことか…忘れてても無理ないな。」







あれっ?記憶をフル回転させると、ようやくピンときた。




「あのチビで泣き虫の…翔太!?」



「お前声でけーよ!!」



翔太は苦笑いすると身を乗り出して莉紗の口を手で塞いだ。