出逢いは5年前の冬ーーーーー







莉紗の父親は彼女がまだ物心つく前に交通事故で亡くなっていた。
長年の母子家庭に慣れ、父がいないことなんて当たり前と思っていたある日、母の突然の一言で新しい家族を持つことになったのだ。







「莉紗、お母さんね、再婚しようかと思っているの。」







母に彼氏らしい存在がいることは、なんとなく気付いてはいた。
このとき莉紗は18歳、高校3年。






「いいと思うよ。お母さんのこと、幸せにしてくれる人なんでしょう?」






もっと幼い頃であれば複雑な感情を抱いたかもしれない。
でももう子供ではないのだ。
今まで女手ひとつで育ててくれた母に、そろそろ自分の幸せも掴んでほしい。