そんな事が聞きたかったんじゃない……っ。


ここから去って行こうとする彼を引きとめたくて、

私は慌てて言う。


「私と……っ、別れたら

もう好きって高村に言わないんだよ?」


「うん……」


「ちゅーだってもうしないよ?」


「うん」



「もしかしたら……っ

他の人と付き合っちゃうかもしれないんだよ?」


一瞬だけ、こっちを向いて笑顔を送る。



「仁菜な幸せなら、それでいいよ」



それだけ言って、また歩きだしてしまう高村を

今度は止めることが出来なかった。