けっきょくは、いつも私の方が余裕ないんだ。


仕方ないから、ゴクリと息を呑み

呼吸を整える。


そして


「は、隼人……っ」


彼を目を見てたどたどしくいうと


「ふっ、可愛い」


彼はもう一度私を抱きしめた。

ぎゅうっと、包み込む手。


「ちょ……授業行くって」


焦ってそういうけれど


「そんなんどうでもいいよ

それよりも仁菜を感じたい」


高村の甘い声に酔いそうになって

身を預けていると

授業なんていっか、という気持ちになってきた。