ただ一つ、間違いないことは…




『やっべー!俺まじ勢いで乗っちゃったよ!どうするよ俺!!』


「…職場には休むって言ってあるの?」


『とりあえず全部ぶっ飛んで理由が浮かばなくてさ、大阪のたこ焼きが恋しくなりました!!…って』


「墓参りって言えよ…バカ」


『とりあえずりゅうちゃん!頼んだよ!親戚のフリしてなんとか2日間休みますって言って!じゃっ!』


「…………」



龍之介の返答を待つ間もなく、電話は切れたようだ。
やたら大きいカイトの声はいつもと変わりない様で、隣に立つ麻衣の耳にも筒抜けだった。



「うるせぇあいつ。声のボリューム落とせっつーの新幹線の中なんだから…」

カイトの職場に電話する役目もブツクサ文句言いつつも、しっかりカイトの代わりに連絡してあげていた。




「ふふっ」


「なに?」


「ほんとの兄弟みたい。カイトと…片桐」




まぁこんな兄弟いたら色々大変そうだけどね…心の中の思いをそっとしまった。




「すげぇ…イライラしたんだよ。あいつら見てるの。余計なことした自分はもっと苛つくけど」


「片桐、顔赤いけどもしや…恥ずかしがってる?」

「別に」


「私、嬉しかったよ。意外だったけど…片桐があんな風に言ってくれて。きっと私じゃ莉奈さんの気持ち聞けなかったから」


「俺は別にあの人の気持ち、知りたかった訳じゃないよ。自分のために言っただけ」



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