無情にも大阪行きの新幹線はゆっくりとホームに入ってきた。
まだ話は終わってない。
莉奈さんの本当の気持ちは聞けてないのに…


莉奈さんは荷物を持つと、「二人ともありがとう」そう言って背を向け歩き出す。



「あ、莉奈さんっ」


「……?」


「莉奈さんはカイトのこと、好きですか?姉弟とかそんなこと関係なく、1人の男として!」



莉奈は何も言わない。
何も言わずただ一回だけ頷いて笑顔を見せた。
今でも泣きそうな笑顔を作って。




ホームに発車ベルが響き渡った。
莉奈の姿はもう車内で見えない。立ちすくむ麻衣と龍之介の真横を誰かがダッシュで通り過ぎすぐに乗り込んだ。
ドアが閉まり、何気なくダッシュで乗り込んだ男性の姿に目をやると二人は驚いて声を上げた。







「カイトっっ!!??」


「はぁ!?あいつ何やってんのっ?!」



息を切らしたカイトは肩で息をしながら何かを言ってる。
けどドアが閉まってるから聞こえるはずなく戸惑っていると自分のスマホを取り出し指を差す。
その指示通り、麻衣はカバンに入れてたスマホを取り出すとメールが入っていた。カイトからだ。





【ちょっと、両親の墓参り行ってくるね


莉奈と一緒に】





受け取ったメールを見てから、顔を上げると新幹線はもう進んでいた。




「あいつ…どうすんだよ仕事。クビになんぞ」


そう言いながら呆れつつも龍之介は笑っていた。
つまりどうゆうことか、色んなことがいっぺんに来たからうまく整理できなかったけど。


きっと二人はうまくいく…


麻衣は何だか嬉しくて泣きそうになった。


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