人混みからチラリと見えたカイトと香織は、何やら気になるものを発見したらしく、まだここまで追い付いてきてない。




「…友達優しいね。あんたのために頑張ってくれてんじゃん」


「…え?」


「カイトのこと、好きなんだろ?」

思わぬ人から思わぬ言葉を言われて、どうしよう。何と返したらいいか、すんなり出てこない。
確かに、香織は私を想ってしてくれてるだろうけど"好き"かどうかなんて…


「い、いやぁ…そうゆう訳じゃないよ」

「別に隠さなくてもいいのに」


片桐の言う通りだ。別に隠すことじゃない。
もう一度、カイトの方を見た。カイトはそんなこと知らずに、水槽を眺めている。
グレーの透き通ったキレイな瞳で。




「…分からないけど…でも、カイトと一緒にいるとすごく楽しいんだよね」



こう、言葉にするとドキドキしてしまうのは不思議だ。
核心的なことはなくても、きっとこの気持ちは【好き】に繋がっていくんじゃないかなって思う。








「なにその顔、すげぇムカつくんだけど」



???!!!


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