片桐はサッと香織の手から腕を抜いた。それはあからさまな態度ではなく、自然に。
4人は入場券を買うと、目の前のエスカレータに乗った。
水色のトンネル、寒色の世界。水面のゆれが程よく心地よい。
前に乗ったカイトが時折振り返るのはサイクリングのときと変わらない。
グレーの瞳はすっかり青の世界を映している。
「綺麗だね」
「う、うん…」
景色がずるい。何もかも、動揺させる。
「こないだテレビに出てた水族館だけあって、人すごいなぁー」
「平日なのにね。…あっ、クラゲ!」
「く、くらげ?」
カイトが苦笑するのをよそに、麻衣は水槽へ近付いた。後の二人も何かと近付く。
「麻衣、クラゲ見てそんな子供みたいに…」
「香織見てよこれ、こんな可愛いのに毒あるんだって」
拳くらいの大きさのクラゲが小さな水槽を浮遊する。狭いだろうに、軟らかい体をうまいこと使ってふわふわ漂う。
ずっと見ていられる光景だ。
こんな調子で、香織と麻衣はしばらく水槽にのめり込んでいると吹き出すような笑い声が近くから聞こえた。
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4人は入場券を買うと、目の前のエスカレータに乗った。
水色のトンネル、寒色の世界。水面のゆれが程よく心地よい。
前に乗ったカイトが時折振り返るのはサイクリングのときと変わらない。
グレーの瞳はすっかり青の世界を映している。
「綺麗だね」
「う、うん…」
景色がずるい。何もかも、動揺させる。
「こないだテレビに出てた水族館だけあって、人すごいなぁー」
「平日なのにね。…あっ、クラゲ!」
「く、くらげ?」
カイトが苦笑するのをよそに、麻衣は水槽へ近付いた。後の二人も何かと近付く。
「麻衣、クラゲ見てそんな子供みたいに…」
「香織見てよこれ、こんな可愛いのに毒あるんだって」
拳くらいの大きさのクラゲが小さな水槽を浮遊する。狭いだろうに、軟らかい体をうまいこと使ってふわふわ漂う。
ずっと見ていられる光景だ。
こんな調子で、香織と麻衣はしばらく水槽にのめり込んでいると吹き出すような笑い声が近くから聞こえた。
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