「これから帰るだけなのに」
自分で自分にツッコミを入れて鼻で笑った。
あんな若くて可愛い女の子に影響されて…なんて自分がちょっと情けなくなる。
そのとき携帯が鳴って、慌てて携帯を覘く
【お疲れ!友達んとこ呼ばれちゃったからまた改めて飲もうぜ!】
カイトからのメールにほっとしつつ、他にメールが来てないことに寂しさを感じた。
仕方ない、もう21時。
片桐のお店はちょうど忙しいもんね…
最後の客様を見送って、閉店。
店長が買ってきてくれたケーキをスタッフみんなでほお張った。
小雪がうっすら積もって、電車が心配になってくるころお店を出た。
「ね~このあとちょっとだけ飲みません?!3人だけだけどサクッと!」
一番若いスタッフのナナがサキと麻衣にもたれかかる。
まだシラフなのに、この絡みっぷり。
「え~女3人でイヴに?」
「いいじゃないですか~!それに、イヴってあと2時間もないですよ?」
「じゃぁ~行くか!藤井ちゃんはどうする?」
「あ、じゃあ~私も行こうかな!」
「女3人でさびしいクリスマスを吹き飛ばしましょうよ!ね!」
お店の鍵をきちんとかけたか確認して、先に歩く二人に小走りで付いていこうとするとエンジンの音と、ライトの光が眩しくて足踏みしてしまった。
こんな雪にバイクなんて危ない…、そう思った麻衣の前にそのバイクは止まった。
「!!!!」
ヘルメットから覘いた瞳は紛れもなく片桐で、麻衣は固まってしまった。
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