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時間を追い求め。
時間を駆け抜け。
時間で遊ばれ。
時間で遊ぶ。
時間は、私の檻。
世界は私を中心に周り。
世界は私を楽しませ。
世界は私で構成され。
世界は私で生きている。
世界は、私の鍵。
時間の檻に、囚われているならば
世界の鍵を、見つければいい。
「ーーーあい…し、て…る…」
「ーーー…も、だよ、…」
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さあ、開こう。扉を。
20××年12月25日。
天気は、雪。
所謂、ホワイトクリスマス。
恋人は、手をつなぎ街を歩く、
家族は、笑い声と共に過ごし、
友は、夜通しパーティを楽しむ。
それが、世間の当たり前。
もちろん、あたしの家でも当たり前。
今日は違った。
仁が、彼女を家に連れてきた。
仁は高校2年の17歳。
彼女も同学年。
〜15分前〜
「千秋さん、俺の彼女」
前触れなしに、仁が彼女を連れてきた。
正直、驚いた。
彼女の綺麗さに…。
見惚れた、あたしが。
仁は、あたしの息子であり、あたしの養子である。
中学3年の時に家に来て、早2年。
あたしとは、そんなに年も変わらない。
あたしは、23歳。
そんな、仁に彼女が居たことをあたしは知らなかった。
まあ、聞きもしなかったけど。
「こんばんは。仁くんとお付き合いさせていただいてます。綾瀬 希です。」
礼儀正しくて、すごくいい子。
第一印象。
仁のやることに、文句は出さない。
だから、希ちゃんも家に上げた。
印象通り、礼儀正しくいい子だった。
仁も、随分と希ちゃんに入れ込んでるみたいで、見ててよくわかる。
この15分の間で、仁の溺愛っぷりったら、もうやんなる。気持ち悪いぐらい。
15分間あたしは、言葉をあまりかけなかったけど…かけずにはいらない。
「仁…気持ち悪い」
真顔で告げた。
「千秋さん酷い」
ひどいも何も…
誰が見てもそうだよ。
と、心で突っ込むも虚しく…。
気になっていたことを問いかけることにした。
「いつから?」
「俺が高1の夏休み」
希ちゃんは、わけがわからないという表情をしている。
「あ、あぁ、悪りぃな。千秋さんは主語が俺らの会話以上にねえんだ」
俺らって、チームのことも話すほど信用してるのね。
「希ちゃん、仁といると大変じゃない?」
「全然です。楽しいですよ。優しいし、最初喧嘩を見たときは怖かったですけど、みんないい人だって分かったので」
仁よかったわね。
希ちゃんのような人が居て。
あたしは、安心した。
愛を知らなかった仁に、愛を与えてあげることが出来て。
それから、たくさん話した。
出会いの経緯とか、学校のこととか…。
それから、ソワソワし始めた仁が、何度も口を開こうとしては閉じ、しては閉じしてるから、じれったくなって声をかけた。
「ねえ、お二人さん。こんなオバサンと、若造の夜をこのまま過ごしていいのかしら?仁、やりたいことがあるなら、言いいな。回りくどいのは好まない」
一瞬驚いた顔をした。
が、すぐ冷静を取り戻し真面目な顔になった。
男の顔。
「千秋さん、俺はコイツと、希と暮らしたい。希の両親には許可をもらった。希には、俺らのチームのことで、危ない目に合わせてる。だから、俺が希を、チームの頭として、1人の男として守り抜きたい。お願いします」
男になった。大きな、強い目。
泣き虫だったあの頃とは違う。
仁は、あたしの知らないところで、1人の大切な人を守れるぐらいの男に成長した。
あたしの答えは一つしかない。
「仁、まだ子供。本当に守れる?」
希ちゃんが、心配そうに見守る中、顔色を変えず、ただ真っ直ぐに見つめ、頷く仁。
「最初から賛成よ。部屋はあたしがオールセキュリティシステムのマンションを用意する。家賃はいらない。食費と光熱費は仁が払うのよ」
話はOKしたというのに、今度は希ちゃんまでも真剣な顔になり、二人揃って
「「ありがとうございます!!!」」
なんて言うから、よっぽど覚悟して家に来たんだな、と思った。
っというか、もともとそういう時のために、部屋は用意してあるのだけど。
それは、今日が終わってからのサプライズにしよう。
「さーて、若いのは出てった出てった!ラブラブな夜へいってらー」