「の、望、学校に行ったんじゃ…」
「おはよう、真央。真央とおばさんの声が聞こえてさ。こんな朝早くに珍しいなって思ってね」
「あの、その…」
「ま、いっか。行きながら教えてよ。おばさん、行ってきます」
望にガシッと右手首を掴まれて、引っ張られる。
頭の中にドナドナの歌が流れ、売られていく仔牛の気分になった。
お母さんを見ると、「行ってらっしゃい」とヒラヒラと手を振っていた。
ダメだ、助けはあてにできない。
諦めて望に付いていくことにした。
それにしても。
内緒で望を観察したかったのに、初っ端から見つかるなんて。
おばさん、あたしに密偵のような真似は向いてないよ!!