それから暫くして、俺は彼女に告白した。


少し肌寒い夜で、誰もいないバイトからの帰り道だった。


あんな相談を受けた後だったし、フラれる覚悟は勿論していた。


でも、意外と良い返事をあっさり貰えた。


「…こんなあたしでいいなら、宜しくお願いします。」


「え?
本当にいいのか?」


「うん!」


「えっと、じゃあ…妃奈って呼んでいい?」


「勿論。
あたしも真幸って呼んでもいいかな?」


俺は拍子が抜けて、その場に座り込みそうになった。


この前まで苦しんでるって言っていたのは何だったのだろうか…。


死ぬ程嬉しいのに、俺は狐に抓まれたような気分だった。


その時はそう思ったけど、付き合ってすぐにある事に気付いた。


妃奈は確かに俺の彼女だけど、妃奈の心の中には、俺じゃない誰かがいた。


多分、妃奈の元カレだろう。


妃奈が俺越しに元カレを見ているのでなかったし、比べられる事もなかったけど、だからって、俺だけを見てくれる事はなかった。


妃奈には言えないけど、その事で俺は悔しくさせられたし、情けなく思う事もあった。


でも俺は決めたんだ、妃奈の中から元カレを追い出すと、その為に俺はもっと良い男になると。