正直、そんな事言われても困ると思った。


それは相談内容が重いからとかじゃなくて、俺が彼女を好きになってしまったから。


それなのに…


「忘れられない事自体は悪い事じゃないよ。
中学生でそんなに人を好きになれるって凄い事だぞ。
でも滝沢ちゃんにとってその思い出が辛いものなら考えないようにしたら?
趣味に熱中したり、新しい恋をしたりしてたら、そのうち楽になれるって。」


今すぐ伝える事だって出来た。


でもそんな事しても意味はない。


今の俺に勝ち目なんてない。


その元カレがどんな人かは分からないけど、絶対に俺なんかより良い男なんだろう。


ってか、大学中探したって、その人に勝てる奴なんていないかもしれない。


俺はなんとなくそう思った。


「そっか。
忘れられない事は…悪くないんだ。」


滝沢ちゃんはそう言うと、俺に笑顔でお礼を言った。


「どういたしまして。」


その笑顔がもどかしさを増す原因だなんて、滝沢ちゃんは知らないんだろうな。


でもそんな事言っといて、俺も滝沢ちゃんが笑ってる顔が見たいから


滝沢ちゃんが暗い顔してるのなんて見たくないから


「村田君に相談して良かった。」


「俺なんかでよければ、いつでも相談に乗るよ。」


だから俺は、どんな相談にでものりたいと思うし、俺なりに解決方法を差し出したいと思う。


それで滝沢ちゃんが救われるのならば。


…でもやっぱり、俺が元カレのことを忘れさせてあげたい。


そして俺は決意したんだ。


滝沢ちゃんに告白しようと。