俺も妃奈も大学生だった頃、俺は学校の近所の塾でバイトしていた。


教えるの好きだったし、なかなか楽しいバイトだった。


その中で、途中から入ってきたのが彼女だった。


元々違うバイトしてたんだけど、将来は教師になりたいから、その練習の為にも塾でバイトする事にしたんだとか。


最初は、この前入った子可愛いなぐらいにしか思ってなかった。


それが、帰りに駅まで一緒に帰った日から変わりだした。


「滝沢ちゃんって俺と一緒の大学行ってるんだ!
全然知らなかった!」


「あたしも。
学部違うし、使ってる校舎違うと本当にわからないよね。」


「本当にそれな。
ねえ、今度一緒にご飯食べない?
滝沢ちゃんが忙しかったら、学校の食堂でもいいからさ。」


「いいよ!
そういえば、この前美味しいお店を見つけたんだけど…」


こんな感じで、俺は滝沢ちゃんとデートまがいな事をするのに成功した。


それから、俺らは急速に仲良くなっていった。


バイト先でも会い、学校でも会い、ベタだけど、俺は彼女を好きになっていった。


でも、滝沢ちゃんは俺のこと友達としか思っていないようだった。


それを証明する相談が俺に寄せられた。


「ねえ、村田君。
実はあたし、中学の時に好きな人がいたんだけど…」


相談内容を纏めると、滝沢ちゃんは中学の時の元カレが忘れられないと。


高校の時に一時期違う人を好きにはなったが、やはりその元カレが忘れられない。


そしてある日その元カレと再会して、色々あったけどまた惹かれてしまい、余計に忘れらない。


だから彼氏欲しいとか特に思わないし、自分はそれでもいいかと思っていたのだが、大学の友達と恋バナしてる最中にそう言ったら、そんな事言ってたらせっかくの大学生活が終わってしまうから勿体ないと言われたそうだ。


それからというもの、友達から頻繁に合コンに誘われていて、数回行ってみたが状況は全く変わっておらず、寧ろ何故行ってるのかが疑問に思えてきたそうだ。


どころか元カレを思い出す事が増え、余計に苦しいそうだ。