終了のホイッスルが鳴る。
まだ宙に舞っているアイツと、虹のような弧を描いた放物線。
ホイッスルが鳴りやむのとアイツが地に降りるのはほぼ同時。
そして、ゴール下にはバスケットを揺らしたボールが跳ねていた。
「キャー! 蓮くんサイコー!」
静かになったのなんて束の間。
体育館はまた黄色い声に溢れていく。
アイドルでも王子でも、アイツはエース様。
それだけは否定できないのだ。
試合は赤チームの勝利に終わり、今日の練習は終了。
コートから選手たちが引きあげてくる。
すると、苦笑いを浮かべながら肩を回している神谷くんの姿が見えた。
「惜しかったね、神谷くん。でも、いいプレーだったよ」