「キャー! 蓮くーん! キャー!」
体育館入り口に無駄に集まった女子の黄色い声。
そんな声に嫌な予感がして目を見開けば、神谷くんと競り合うようにジャンプしている赤チームの選手がひとり。
アイツだ……。
私はため息をついて、頭を抱える。
「キャー!」
一段と大きくなる歓声。
ボールをがっしりと掴んで着地しているアイツ。
私の幼馴染であり、我が校天下無敵のエース様。
「蓮くん、カッコイイー! キャー!」
そして、女子たちはアイツのことをバスケ王子なんて呼んでいる始末。
ああ、今日も黄色い声が頭に響いて痛い。