私は駅前の総合病院に来ていた。


病室には、沢山の点滴の管を付けた
孝太郎が横たわっていた。

「夢葉、来てくれたんだ。」

嬉しそうに笑う孝太郎。

それからお医者さんに呼ばれて、
孝太郎の話を聞くことになる。



「雨宮さん、天野君のご両親の連絡先は
ご存知ですか?」

「いえ…」

「そうですか。では、本題に入りましょう。
天野君は、自ら自宅の屋上から飛び降りて、
このような事になりました。」

孝太郎が、飛び降り?

「ですが、本人は ‘‘自殺をするつもりはなかった’’
と言っています。」

ーそれから私たちも色々話を聞いたのですが、
どうやら彼は精神的に安定していないようですね。

それと、彼の身体にいくつかの切り傷があります。

恐らく、自傷行為だとおもわれるのです。

精神科を勧めたのですが、彼は頑なにこう言いました。

ー夢葉と過ごす時間を削りたくないー


このままでは、彼は貴方を傷つける可能性が…



私は医者をまっすぐ見つめて言った。

「孝太郎は大丈夫です。私を傷つけたりなんてしない…
異常なんかじゃないのにっ…」