学校に着き、教室に入ると、前方で男子たちが何やら騒いでいる。


「んじゃぁ~俺がlineのID聞くから~、お前に教えるわ」

「次は俺な!」

「いや俺だろ!生物の点数お前より上だしな」



―いつも賑やかだけど、今日はいつもの4割増し賑やかだなぁ…


席に着くと、教科書やらだし、黙々と勉強をするフリをしながら、後方にいる女子たちの会話に耳を傾ける。


輪の中心にいるのは、クラスのリーダー格の、雨宮(あまみや) すず


清楚な雰囲気に、目鼻立ちが良い、びっくりするほどの綺麗な顔立ち。

学年一可愛いという噂で、かなりの美人だから男女からの人気者。


といってもつるむのは殆ど女子で、高飛車なわけでもなく、
男子に話しかけたりすることは最低限なこと以外殆ど見かけない。


そこがまた人気な要素だったりする…んだと思う。


「この子だよぉ~!ほら、kissの読モ!」


さらさらのロングを手ぐしで整えながら、すずは片手で雑誌をもち、周りの女子たちに話しかける。


…わたしだって、去年はあの中にいたんだよ……


華恋は羨ましそうに振り返った。