朝から晴れた。


気分も晴れている。
久々の甘い夜。
夜通し欲しがるままに詩織を抱いた。


…もう40前なんだけどな。
元気だな、俺。


朝、目が覚めると何時ものように小さなキッチンで朝食を作る詩織の姿があった。


パンを焼くだけの質素な毎日。

彼女が居るだけで、ほかほかの白いご飯、味噌汁、お漬物、焼魚とメニューが変わる。


その姿をじっと見ていた。


こんな毎日が続けばいい。


子供がいて、彼女がいて、俺がいる。
それが何よりの幸せだって思えた。


だから。


まさか、だったんだ。


詩織の身にあんな事が起こってるなんて。




最初に気付いたのは、手の甲に出来てたアザだった。


「ぶつけたのか?ドジだなぁ。」


そう言った俺に照れ臭そうに笑ってアザを隠した。


次に見つけたのは首筋の傷。


結構大きく傷がついていて、あれ?こんな傷あったっけ?なんてレベルじゃなかった。


聞いても笑って誤魔化す。

彼女の持ち物が少しずつ変わっていたり、おかしいと決定的に思ったのが指輪の存在だった。


外す時は結婚する時だ、と言って渡した指輪を詩織がしていなかった。


問い詰めても黙ってしまう。


何が起こってるんだ?お前の身に。