「根詰めてもなんにもならないし、そうだな、他の兄弟について聞かせてほしいんだが。いいか?」

ウィリアムは、できるだけ穏やかに尋ねた。

「あ、うん、あたしの知ってるかぎりのことを話すよ」

2人は改めてソファに座り直した。

向かい合わせだからか、マリアは緊張気味だ。

「じゃ、まず長男から」


「アダムスの母親は、父さんの秘書だったの。

エリザベスの母親もそう。

母親同士がライバル関係だったから、アダムスとエリザベスもすごく仲が悪いのね。

歳も近いし……。

アダムスは28、エリザベスは26よ」

「ふうん……。なるほど」

「アダムスは、すごく派手。

プレイボーイなの。

ルックスの良さを鼻にかけてるとこがあって…

でも格好いいから女の人がたくさん周りにいたわ」

「一度、全員を見てるんだったな」

マリアはうなずいた。