その後
美希とふたりの病室で、ヒロの事をいろいろと聞かれたけれど
私はちゃんと答えられなくて…結局、本当の事は言えずじまいだった。
それから、落ち着きを取り戻した母が改めて病室にやって来て
ベッドの上の美希を美希と呼び、駆け寄った。
それは
普通なら、ごくごく当たり前の事で…
でも…母の中では、私が変わりに眠っていたはずだったのだから…
なのに、美希が目覚めた途端に、それは簡単になかった事として処理されてしまった。
急に
今自分が美希の姿である事を思いだし、空しくなる。
私は、誰なんだろう…?
何の為にいるの?
みんな、美希を必要としている。
ヒロだって…
だから、美希の中に自分がいないのが
きっと辛くて…
私はバカだ。
結局、私は咲希で、美希のにせものでしかない。