放課後の図書室は、静かだ。 お気に入りの窓際の席で 私は本を読む。 日が少し落ちかけた頃 遠くの方でかすかに聞こえて来る足音 それはだんだんと大きくなり やがてすぐ前でとまる。 「お疲れさま」 私は顔をあげ、おきまりのセリフを口にした。 「お待たせ。」 すぐに 聞きなれたその声が返事をする。 私にだけ向けられる彼の笑顔。 いつもと 変わらない、日常。 それは、一見平凡だけれど 私からすれば、ほとんど奇跡だ。