「はい、どーぞ」

「……え?」

差し出されたのは、あたしが狙っていた焼きそばパン。

「これ、取ろうとしてたんだろ?」

「え、え、ええ?」

つ、つまり……。

「と、取ってくれたんですか?」

「そーいうこと」

三秒ぐらい時間が止まった気がした。

そしてあたしの顔はボンッと音が鳴ったかのように、顔がまっ赤に。

そんなあたしを見て、遊佐君はまた「ぶっ」と吹き出した。

つ、つまり、あたしは、勘違いしていたということで……。
ああああ、恥ずかしい……。

「え、えと、ありがとうございます」

「ん、どういたしまして」

「いい、の? 遊佐君は食べるパン……」

「俺は元々弁当だから。友達に頼まれて買っただけ」

そう言っている遊佐くんの手には、メロンパンがあった。