カキーンッ、てボールが空高くに飛んでく。
いつもは無邪気な笑顔でしゃべりかけてくるあいつも、
野球のこととなるとほんっとに真剣。
あーあ。
ずっとこんな感じだったらモテるんだろうな。
まぁ、今のままでもモテるだろうけど。
「ゆい?また田野のこと見てたんだ」
「なわけないじゃんっ!あいつのどこに惚れなきゃいけないのよ」
はいはい、とあかりがいつものように私を宥める。
教室のドアにはあかりの彼氏が待っていた。
「あかり、先帰ってていいよ。まだ委員会の仕事、残ってるからさ」
「わかった。じゃあねー」
明るく手を振ったあかりは、彼氏のはやとくんのとこに飛び込んでた。
いいなー、あの二人。
ラブラブで。
あたしも早く彼氏ほしいなー。
田野は優しくて好きだけど、幼なじみだなら、そんな感情がないんだ。
田野の弟が小さいから、子守もしたことあるけど、
やっぱりドキドキしない。