心臓が痛いくらいにバクバクしてて。





涼哉が目をそらしてくれた事に内心ホッとしていた。





私も花火に目を向けるけれど。





それよりもさっきの涼哉が脳内でチラついてて実際花火どころじゃ無かった。





そんなに花火自体は無かったみたいで直ぐに終わっちゃったけど。





「………は、花火、終わっちゃったね」




「………ああ、そうだな」




私達の間にはなんとも言えない気まずい空気が流れてる。





でも、気まずいけれど居心地の悪くなるような感じでは無くて。





気まずい筈なのにずっとこのままだったら良いのに、なんて思ってしまった。





どうしたら良いか分からなくて、苦し紛れに花火が終わった空を見上げると。





沢山の星がキラキラと瞬いていて。





雲一つない綺麗な星空。





普通なら綺麗とそう言えるくらいなのに何故かとても不安に駆られる夜空だった。





「…………花鈴、どうしたんだよ⁇行かねえの⁇」




「………あ、ごめん!なんでもないよ」




涼哉に呼ばれて、慌てて首を振って不安を消し去る。





…………まさかね、そんな訳ない。





きっと気のせいだ、そう考えて涼哉の後を追って屋上を後にした。





…………後々、私はこのとき感じた不安は間違えてはない事を思い知る事になる。