「高舘、これ」


“弁償する”

と言っておいて、アレ以来同じクラスにいても話しかけすらこない汐見に腹を立てていたあたしに、汐見本人が丁寧にラッピングされた袋をもって声をかけてきたのは、一週間後。



「え、別にいいって」


まさか本当に新しいものを買ってくるなんて、期待してなかったあたしは、汐見が差し出した袋を押し返した。


「いや、でも、割っちゃったの俺だし」

「また買うから。新しいやつ」

「でも・・」

「本当に、いいから」


放課後の教室で“もらって”“もらえない”を繰り返していたあたしたちは、その状況にツボって、どちらからともなく笑い出した。


「本当に、もういいよ?」


笑をこらえながら、あたしが汐見のほうを見ると、汐見は袋をもう一度あたしのほうに差し出した。


「だって、もう買っちゃったし。俺が使うワケにもいかないじゃん」

「・・じゃぁ」


それもそうかと思ったあたしは、しぶしぶ汐見から袋を受け取った。