「沙夜!!」


6時間の授業が終わって、昇降口で靴を履き替えていると、後ろから声をかけられた。


「美佐!!」


振り返ると、あたしの数少ない親友の一人、美佐が立っていた。


上杉美佐(ウエスギミサ)

小学校五年生のときに同じクラスになってから、ずっと仲良し。
今は隣のクラスだけど、あたしたちの関係は変わらない。


「これから部活?」


あたしは、隣に座って靴を履き替えている美佐に声をかけた。


「うん。沙夜は帰るの?」

「梨香が来たら、一緒に帰る」


あたしは一年の終わりに、テニス部を辞めた。
理由は先輩ともめたから。


「そっかぁ。ね、聞いた?美咲の話」

「・・あぁ、優と付き合ってるって?」

「そうそう。そんな話、誰がどっから情報流してるんだろ」

「すぐに広まっちゃうよね」

「こんなんじゃ、誰も好きになれないって!」

「言えてる」


「じゃ、あたしそろそろ行くよ!!」

「うん。またね!」


美佐はテニスコートのほうへと走っていった。