「・・・・あの。」

思ったより、高い声だった。

そして、意外に可愛い声だった。

「ありがとう。」

はあ?お礼?

「なに言ってんの?」

ぼちたには、視線を落とす。

また顔が見えなくなった。


「なにに対して言ってんの?」

「・・・・あだ名。」

「は?」

「あだ名を、くれた・・・・。」

「・・・・。」

今度は俺がなにも言えなかった。

あだ名?

あだ名って"ぼちたに"っていうのあの?

「・・・・嫌味?」

それしか考えられない。

でも、また首をふる。


「・・・わたしの存在を、クラスみんなが知ってるの。

それは、藍田くんがあだ名をくれたおかげ。」


はあ?

なんだよ、それ。

こんなこと言う奴はじめてみた。

「いや、でも、あのあだ名は、おまえを馬鹿にしてつけたんだぞ?」

わかってると思うけど。

ぼちたには、わかってる、というように頷く。

・・・やっぱりな。