「愛樹・・・ンん・・・・・」
キスの間に何度も名前を呼ぶ。
ただ名前を呼べることがこんなにも嬉しい相手なんて、一人しかいないよ。
俺だけが特別な気がしてくる。
愛樹・・・・・・・
「ン・・・・あ、い・・・だ、くん・・・・」
されるがままになりながらも、うわ言のように俺を呼ぶ。
愛樹が俺を呼ぶたびに、愛樹と今口づけを交わしている相手は俺なんだって、実感して幸せを感じる。
もっと、もっと俺を呼んで。
そして、俺を求めてよ。
もう、とめられない。
ずっとずっとずっと、本当にずっと君が好きだったんだ。
「すきだよ・・・・・」
何度めかわからないキスの後に、涙目になって息を整える茶色い瞳を覗き込む。
俺が伝えると、瞳の奥が疼いている。
「好き。」
今度は、声にならない言葉を吐き出すように少し唇が開く。
・・・・ねえ、君のこんな表情やしぐさを知ってるのは、俺だけ?だよな?
「藍田、くん・・・・・・・。」
「もっと。ね?いい?」
また、ボッと頬に熱が灯った。
・・・あー、かわいい。
「嫌なら、逃げて。」
決まり文句のように出てくる言葉。
でも、彼女はためらいがちに俺を見つめ返してくれる。
「逃げ、ません。」
そして小さくつぶやいた言葉が、俺に届くか否か。
瞬間で、また赤く色づくそれに、噛み付いた。
・・・・・ずっと、このままでいたい。
そう思いながら、何度もキスを重ねて
何度も小さな体を抱きすくめて、
ときの流れも忘れて、俺は彼女を求め続けた。