愛樹はいつまでたっても、なにも言えずただうるんだ瞳で俺を見るだけだった。

この状況が半殺し状態だということ、気づいてるのか?

俺の理性、試してる?


「愛樹、限界なんだけど。もう、待てないんだけど。」

こんなにおいしそうな獲物を前に、待てが長すぎる。

「え?」

「返事はあとでいい。

キスしたい・・・。」

「・・・へ!?」

「目の前にいる好きな奴と、俺はキスがしたい。

嫌なら逃げて。」

俺はそう言って愛樹の両手をつかんでる左手を緩めた。

けど、愛樹は逃げる気配がない。

「・・・逃げないの?」

なら、俺のしたいことするけど。

頷く代わりにじっと俺を見つめる。

ヤバい、愛樹に殺されそう・・・

心臓が脈打ちすぎて痛いんだけど。


「そう、逃げないんだ。」


自然とあがる口端。

俺はそっと顔を近づける。

愛樹は、抗う事なく目を閉じた。


「ン・・・・」


愛樹の唇は、とってもやわらかくて、なんか甘い。

初めてのキスだから、舌を入れたい気持ちを押し殺して重ねるだけにした。

それでも十分幸せだ。


唇を離し、至近距離で見つめあう。


「もっかい・・・。」

「へ・・・・あ、んン・・・・」


言葉を飲み込むように。