愛樹は、ただ黙って扉をあけ、俺が入室することを許してくれた。

愛樹の部屋は、なんというか女の子って感じで、実は結構乙女な愛樹らしい。

俺は一歩進んで、部屋の中央に立っていた。

愛樹は、部屋の扉を閉めて俺の背後から問うた。

「どうしてここに来たの?」

「さっき言っただろ?愛樹に会いにきたんだよ。」

「だから、どうして?」

「会いたかったから。」

そう言って振り返ると、愛樹の瞳が俺を信じていないことが見てとれた。

それと同時に、瞼が張れていることも。

「・・・泣いたのか?」

「・・・・。」

俺の問いに応えず、隠すように下を向く。

俺が泣かせたんだな。

好きな女泣かせるとか、だめな男だな。