和樹は、俺を家にあげて、愛樹の部屋の前まで連れてきてくれた。

「言っとくけど、俺が隣の部屋にいるからな。

変なことするんじゃねえぞ?」

「変なことってなんすか?内容によっては約束できません。」

「可愛くねえ奴だな。」

そう言いながらも、少し笑って和樹は背を向ける。

隣の部屋に入る瞬間に小さく、「妹を頼む。」と言った声が聞こえた。


・・・よし。

一呼吸おいて、目の前の扉を見つめる。

この中に愛樹がいる。

愛樹に、会いたい・・・。

いつだって俺は、愛樹に会いたいよ。

愛樹が好きだ。

ちょっと前まで、バカにしてた存在だったのに。

あの日、図書室で偶然に愛樹の素顔を知って、最初は顔からだったかもな。

でも、すぐに内面に触れた。

愛樹の言葉が、俺を救ってくれた。

愛樹の隣はとても居心地がよくて、あたたかくて、ずっとそこにいたい。

愛樹の笑顔を見るだけで、体中が脈打って、俺が生きているんだってわかる。

愛樹を愛してる。

全部伝えたい。聞いてほしい。


ねえ、愛樹。